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浄化槽とは



▶をクリックしてください、説明が出ます。
水環境のために私たちができること
浄化槽は、し尿と雑排水を処理する施設と定義され、公共用水域等の水質の保全のため、浄化槽により適正な処理をし、生活環境の保全及び公衆衛生の向上に寄与することが目的として定められています。(浄化槽法 第一条、第二条)
私たちは生活を営んでいく為に、汚水(し尿、生活雑排水)を排水しています。この汚水を垂れ流しにすることは、不衛生な環境を作り出し、伝染病などの疾病の発生原因ともなります。もちろん人間だけでなく、生命を持った全ての生き物、河川、海、土壌にも 影響を及ぼします。
浄化槽とは自然界に存在する微生物の力を借りて汚水を浄化し、きれいになった水を消毒して放流する施設です。また、その特長として、
1)処理能力は下水道と比較しても遜色ないレベルにある。
2)コンパクトでスペースが少なく工事も容易なため早期に効果が期待できる。
3)個別処理のため付帯工事や設備が設備が簡易で自然災害にも強い。
などが挙げられます。なお、微生物が働きやすい環境を整えるためには、浄化槽の維持管理 (保守点検・清掃・法定検査)は必至条件です。私たちの地域の水環境を保つためにも、みなさまご協力ください。
浄化槽の構造
浄化槽には大きく分けて2種類あります。
1)単独浄化槽(みなし浄化槽)
用途:し尿(トイレの排水)
方式:全ばっ気、分離ばっ気など
2)合併浄化槽
用途:し尿と雑排水を処理するもの
方式:嫌気ろ床接触ばっ気、担体流動生物ろ過など
ここでは小型合併浄化槽の嫌気ろ床接触ばっ気方式について説明します。
①嫌気ろ床槽第1室
流入してきた汚水中のトイレットペーパー、髪の毛などを「ろ材」で濾して 固形物と液体とを分離し、第2室へと送ります。この槽には嫌気性細菌(酸素がない状態を好む細菌)が繁殖しています。
②嫌気ろ床槽第2室
もう一度ろ材を通すことで、固液分離を行います。この槽にも嫌気性細菌が繁殖しており、有機物を分解しています。
③接触ばっ気槽
ブロワから送られてくる空気によって槽内汚水が攪拌されています。この槽には好気性細菌(酸素がある状態を好む細菌)が繁殖しており、有機物の吸着・酸化分解が行われ、汚水は高度に浄化されます。
④沈殿槽
この槽では、重力により沈降した汚泥は自然にばっ気槽に移送され、上澄水は消毒槽へと移流します。
⑤消毒槽
浄化された水は、この槽で固形塩素剤と接触し、病原性細菌の指標となる大腸菌群などが消毒され、自然界へと放流されます。すべての過程の末、1ミリリットル中に数百万個も存在していた大腸菌群数も約3,000個にまで減らすことができます。
保守点検とは
☆きれいになった水が出ているか調べるため、水質検査を行います。
☆微生物が活発に働けるよう、汚泥の状況やろ材、 配管の目詰まり等の状況を点検・調整します。
☆汚泥が流れ出ないよう、汚泥のたまり具合を 調べ清掃の時期を判断します。
☆不衛生とならないよう、蚊やハエ等の発生防止の措置を行います。
☆環境衛生上の支障が生じないよう、消毒薬の補充や溶け具合の調整を行います。
☆微生物が窒息しないよう、ブロワの点検・調整します。
清掃とは
浄化槽内にたまった汚泥やスカムなどを引き抜き、浄化槽の中を掃除する作業のことをいいます。浄化槽の清掃は、法律で年1回以上(全ばっ気方式についてはおおむね6ヶ月毎)と定められています。(浄化槽法第10条)
法定検査とは
浄化槽の工事や維持管理が適正に実施されているか定期的に検査するもので、浄化槽にとって定期健康診断のようなものです。
検査の時期は使用開始後3~8ヶ月後に行う「7条検査」と、1年に一度行う「11条検査」があります。県知事が指定した検査機関に依頼して受検してください。なお、静岡県内では(一財)静岡県生活科学検査センターが検査機関として指定されています。
使用上の注意
1.ブロワの電源は切らないでください。
2.トイレ掃除には市販の洗剤を使ってください。
3.槽内やトイレには異物(ゴム製品、タバコの吸殻、新聞紙、衛生綿など)を捨てないでください。
4.トイレットペーパーは水に溶けやすいものを適量お使いください。
5.キッチンでの調理くずや油、醤油、酒、味噌汁などの原水は流さないでください。
6.マンホールやブロワの上には物を乗せないでください。
7.ブロワの周りは風通しをよくし、可燃物、危険物は遠ざけてください。
単独浄化槽から合併浄化槽への転換
本県には約50万基(平成27年度末)の浄化槽がありますが、このうちの約67%が未だ単独浄化槽です。
単独浄化槽はトイレ排水しか処理しないため、環境への負荷は合併浄化槽の8倍にもなりますので、一刻も早く単独浄化槽から合併浄化槽への転換を進める必要があります。
これに向け行政や当協会は啓発活動を進めています。県内においては浄化槽本体だけでなく、配管工事の一部を補助金に上乗せしている自治体もあります。
経費と助成
浄化槽に係る経費は「設置のための費用」と、電気代のほか保守点検代、清掃代、法定検査費などの「維持管理に要する費用」に分けられます。県内の多くの自治体は国庫助成制度を活用して「設置費用の一部を助成」しています。また、一部の自治体においては「維持管理費に対して助成」をしています。助成の内容については地域により異なるため、制度の詳細については各自治体にお問合せください。
機能保証制度(保証登録)
設置された浄化槽(本体)が施工上の瑕疵により機能に不具合が生じたと判定され、原因者が特定できない場合などに、その機能を(一社)全国浄化槽団体連合会が保証するのが「機能保証制度」で、登録することによって使用開始日から10年間に亘って保証されます。
保証登録の手続は、当協会の本部事務所(静岡市)のほか、沼津駿東支部(沼津市)、富士支部(富士市)、志太榛原支部(藤枝市)、東遠支部(掛川市)でも受け付けており、1件につき3千円(非協会員にあっては1万円)の登録料がかかります。
なお、自治体によっては、この登録をすることが設置助成を受ける要件となっている場合があり、事前に自治体に確認する必要があります。詳しい制度については、全浄連のパンフレット等でご確認いただくか、最寄りの協会事務局までお問合せください。